設立背景

我が国のIT産業は、インターネットの普及以来、ツール産業として様々な産業との融合が進み、ビジネスの在り方に大きな変遷をもたらしてきました。那覇市を中心とする中南圏域に立地がすすむIT企業も、このような国内の動向に呼応し、単なる情報サービス業や受託開発から進化を遂げ、付加価値の高いビジネスモデルを展開する企業が増えつつあります。

わが県は平成10年の沖縄県マルチメディアアイランド構想、3次にわたる情報産業振興計画を推し進めた結果、平成23年度末までにITにおける産業規模は約1,300億円から約3,400億円、雇用数は約6,000人から約31,000人と大きく発展を遂げ、観光業と肩を並べるリーディング産業へと成長してきましたが、県民一人当たりの生産高は約1,600万円から約1,100万円と年々落ち込んでおり、IT産業の高度化は遅々として進んでいないと言えるのではないでしょうか。つまりIT業界の立地・集積が進んではいるものの依然として下請構造やコストセンターから脱却できているとはいえない状況と考えます。

一方、折からのBCP(事業継続計画)理念の拡充、さらには昨年3月の東日本大震災以来、リスク分散の考え方がさらに加速し、IT業界のみならず首都圏オンサイトでなくともよい業種に関しても、今後わが県に立地・集積することが予想されます。このような状況の中、多様化が進む産業構造に対し、地域として取り組まなければならない課題が山積みです。最適な立地環境や社会インフラの整備等ハードウェアにかかわる施策、異業種間連携や人材ニーズに対応できる教育システムの確立等ソフトウェアにかかわる施策、これらを地域全体で推進してゆかなければなりません。幸い、那覇市を中心に集積が進む付加価値の高いIT企業群では、その固有のノウハウを結集することにより、地域における新たな仕組みづくりの創造にこれまで以上に期待のもてる環境が整ってきました。

今般、設立する協議会はこれらの企業群を中心として、情報通信関連産業界はもちろん、情報化に関心を持つ企業、専門知識を持つ研究者、情報化や情報技術に関心を持つ県民、行政機関等が、それぞれの枠を超え一体となって、特にITを活用した新たなビジネスモデルの創出や新しい社会システムの構築を推し進め、那覇市と共に市民協働の街づくりを推進し、延いては沖縄経済の発展と県民生活の向上を目指すものです。

平成25 年4 月吉日

発起人一同